私が日の下で見た悪しき事がある。
それは人の上に重くのしかかる。
神が富と財と誉れを与える人がいる。
その人は、望むもので何一つ欠ける事がない。
しかし神は、
この人が望むものを楽しむ事を許さない。
そして、見ず知らずの人が、
望むものを楽しむようにされる。
これは空しい事、それは悪しき病だ。
もし人が百人の子供を持ち、
彼の年が多くなっても、
彼が良き物に満足する事なく、
墓にも葬られなかったなら、
私は、
彼よりも死産の子の方がましだ。
と、言う。
その子は空しさの中に生まれてきて、
闇の中に去って行き、
その名は闇の覆われ、
日の光も見ず、何も知らない。
しかし、この子の方が安らかだ。
彼が千年の倍も生きても、
幸せな事に合わなければ。
両者とも同じ所に行くではないか。
人の労苦は皆、自分の食べ物の為である。
しかし、その食欲は決して満たされない。
知恵のある者は、
豊かな者より何が勝っているだろう。
人の前でどう生きるかを、
知っている貧しい人がいる。
彼も、豊かな者より何が勝っているだろうか。
目が見る事は、欲望のひとり歩きに勝る。
これもまた空しく、風を追うようなものだ。
存在するようになった者は、
すでにその名がつけられいる。
それが人間である事も知られている。
その人は、自分より力のある者と
言い争う事はできない。
多く語れば、虚しさは増す。
それは人にとって何の益になるだろうか。
誰が知るだろうか。
影のように過ごす、空しい人生において、
何が人の為に良い事なのかを。
誰が人の告げる事ができるだろうか。
その人の後に、日の下で何が起こるかを。
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