婦人について 米国における日本婦人の労働 その7 ************************************************** ************************************************** **************************************************

日本婦人が自活できるだけの収入のある職業は、

乏しくないと思う。

特に、良いだろうと思う職業を、

二つばかりここに挙げてみよう。

向こうには、マニュキュアという独立した職業がある。

大抵は、女髪結いで兼職しているが、

爪磨きだけでも相当の収入はある。

紐育にはこの専門の学校があって、3ヵ月で修業する。

普通の爪磨きで、我々女学生を相手の場合、

一回で25仙(50銭)位もらえる。

上手くなって、社交界婦人を相手にするようになると、

一回に1弗位はもらえる。

少し美術思想に富んだ人なら、帽子造りは良い職業であろう。

収入は技術によって大差がある。

また。独立している人と雇われている人とで異なるが、

本当に上手になって大きな店に雇われると、

月給40~50弗はもらえる。

ニューヨークでは、普通女学生等の帽子を装飾する場合、

帽子一つにつき50銭から23弗はもらえる。

日本人でも相当の収入があるだろうと思う。

以上のように、収入は、随分よいように聞こえる。

しかし、外国における労働が、

婦人の思想人格の上にどんな影響を及ぼすか。

という事について、私の観察を少しお話したい。

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