それに主人の家の立派な部屋に住んで、
立派な生活をしてゆくことが出来る。
先生と言われたいばかりに、20圓内外な薄給に満足して、
ご飯と漬物というみじめな生活をする必要があろうか。
というような調子で今の境遇に甘んじているのである。
次は、腰元(レディースメイド)だが、
これは、まれにしかない。
なぜなら、これは英語の教養を要するから、
日本の婦人には少し難しい。
仕事は、仕えている婦人の身の回りの世話をするので、
髪結と爪磨きが出来なければならないようである。
月給は340弗から良い所なると780弗は取れる。
この仕事には、日本婦人の中の高等の教育を受けた者も
少しいる。
以上、普通日本婦人の仕事と得る収入である。
収入は相当あり、家庭の保護もあるから
最も安全な職業である。
その他、家庭以外の職業に従事している人も少数いる。
前に書いた事がありますが、
婦人ホームに通い仕事をしている二人の婦人がいた。
一人はネクタイを造る工場に働いており、
朝6時~夜6時まで働いて、日給は2弗である。
この収入から自分の生活費、
日本にいる母親に仕送りをしている。
裁縫の仕事をしている人もいた。
しかし、西洋人を相手にするほどの技量はないとの事。
だから、日本人を相手に仕事をしているが、
収入は十分あるとの事だった。
以上は、労働者であるが、商いを営んでいる婦人がいる。