婦人について 米国における日本婦人の労働 その2 ************************************************** ************************************************** **************************************************

そして、紐育で、

部屋代が一週間に二弗・自由にガスが使え、自炊ができる。

しかし、わが東京萬年街に匹敵する

下町の貧民窟にもないかもしれない。

殊にここにいれば、

難しい外国語を手真似をしながら話すような必要もないから、

英語のできない者や、財政のあまり豊かでない人達には、

この上ない良い住まいである。

だから、

紐育において日本婦人の自活の方法を知るには、

ここに来る婦人を研究するのが最もよい。

私は、渡米5年目に

このホームでひと月を過ごした婦人に接する機会を得た。

そして、日本では相当な地位にあり、教育もある人が、

労働に従事している事には驚いた

ただし、かの地おける労働の報酬は、

我が国における高等官の相当するほどであろう。

労働で一番収入の多いのは、「料理番」であるが、

その報酬にはいろいろある。

大きなホテルの料理長等になると、

月に千弗位は貰える。

普通、日本婦人が従事しているのは家庭料理番で、

月給25弗~50弗・60・70弗位である

まだ、経験のないうちは、中流社会の家庭で働く。

そこで、クック一人として雇われる。

こんな所は、料理の他に、

皿洗いや給仕はもちろん家の掃除から洗濯の手伝いまでする。

しかし、月給が忙しいわりに少なく、

たいてい25弗から30弗迄。

少し進んでコックの他に、。

中働きを置くような家庭へ行くと、

コックの仕事は料理と皿洗いで、月給は30~40弗。

もひとつ進んで、

給仕、仲働き、コックの助手等で働く家庭は、

コックは主人の料理をするだけで、

皿荒いもなんにものしない。

仕事の少ないわりに報酬が増え、

月給は大抵50弗以上である。