人口350万人という米国の大都紐育市に、
3000人ばかりのわが同胞がいる。
その中の婦人から、
多数の銀行・会社員の婦人連と
ごく少数の女学生を除くと、
独立独歩の生活を営んでいる婦人達である。
日々、潮の寄せるように入ってくる欧州の移住民が、
職を得る苦しみ、飢えに泣いている。
この大都市で、
人種的偏見の最も盛んな時代に、
黄色人種の我々の姉妹が、
どのようして自活しているかを知る事は、
興味多い事である。
もし、自活の道がたくさんあって、
安定した生涯ならば、
生活難に痛められている我が中流以下の娘さん達は、
どしどし渡米して発展の道を講じたらよいであろう。
と、こんな考えから私は、
紐育で自活している同胞婦人が、
どんな道筋を経て、今に至ったかを調べてみた。
紐育には、日本人の下宿屋があり、婦人にも宿を与えている。
しかし、男女混合であり、家庭的趣味が欠けている。
これらの欠点を補うために、あるキリスト教団体が、
日本婦人ホームなるものを34年前に組織した
婦人ホームは、上町のある建物の6階にあり、
12から13人位は収容できるようになっている。
部屋代は、
一週間二ドル(四圓)で、ガス・水道全ての便がある。
ここは、日本人のキリスト教の牧師が監督している。
入ってくる人は様々である。
学生・労働者の細君・自ら労働している婦人もいる。