時計の短針と長針とが12時の所で一緒になると、
後ろの方の人から静かに立って恭しく食堂を出た。
まことによい朝であった。
夜は、近くのある宗教団体の倶楽部の晩餐に呼ばれていた。
だから、6時頃、白い衣服を着て出かけた。
すぐ、食堂に案内された。
食堂は、丁度××の様な作りで、
周囲がすべてガラスで出来てゐる。
部屋の中央に30人も座れそうな長いテーブルがある。
テーブルの上から部屋の周囲迄一面に数十種の草花が、
今を盛りと咲き乱れてゐる。
私共は、テーブルの一番上座に、案内された。
食べ物は、簡単なものであった。
しかし、野菜は皆庭から取られるので、
新鮮で美味しかった。
男子も女子も混合で、皆若い人ばかりだから
食堂は随分賑やかであった。
食事が済むと、
一同ピアノ等の備えてある美しい大広間に集まった。
何々君にヴァイオリンを頼みたい。
と、一人が言い出すと、皆が賛成で、其の人を引き出す。
ヴァイオリンが終わると、
何々嬢ピアノ
と、次から次へと演奏があり賑やかであった。
遅くなっては・・・
と、思って、9時ごろに暇を告げて外へ出た。