汽車に乗り降りする毎に、原口は、

私の荷物―革鞄・外套・傘―を持って、私のお供である。

これが、日本でなら

逆に、私の方で、傘も風呂敷包みも

尚その上に赤ん坊迄負ぶっていかねばならぬところだ。

と、思ふと可笑しくも気の毒である。

なに、日本に帰ってから敵は討ってやる。

と、云い一向平気であった。

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