食後応接間や書斎に案内された。

三階にある男の子の部屋にも行ってみた。

書斎にある書物は、産科學に関係があるのばかりである。

だから、博士は、その方面の教授であることがわかった。

博士は、

此の書斎の窻は、

ギリシアの神話から取って苦心して、

拵えさせたもので(こしらへさせた物)、

左の窻が朝、真中の窻が昼・右の窻が日暮れ、

を、象徴するものである事を説明せられた。

談が偶々(たまたま)、、

米国に於ける婦人参政権の事に及ぶと博士は、

妻は、大分この運動に賛成で、

余程此の為に尽力しています。

私も大体において賛成してゐます。

だが、細かい点においては妻と意見が違ひます。

十人十色で人々皆意見を異にしてゐますから、

仕方がありません。

と、物語られた。

私は、昨日の旅行等で疲れてゐる上に、

睡眠が足りなかったので非常に眠くなった。

それで、三時頃博士の宅を辞して歸った。