日本あたりで、

婿や娘のやり取りをすることが出来る。

と、いう事は米国婦人にはどうしてもわからないので、

向こうの人は不思議がって、

お婿さんを第三者に決めてもらって、

いよいよ一緒になった時の心持ちはどんなものだろう。

と、言って私共に聞くことが度々であった。

向こうでは、道徳上経済上の事柄を同じく、

趣味の問題も自分で処置する。

と、いう事になっている。

だから、気に入る人がなかったりなどすれば、

何のことはない独身でやり通すというのである。

だから、独身生活をしている婦人数が多くなるのである

(これにはのちに述べるが如き経済上の事情もあるが、)

勿論、

向こうの人でも年頃になると、配偶者を探そうとはする。

しかしながら親たちが主になって婿を探し、

探し当てて、娘が年頃になれば、

絶対、結婚させねば、

娘が一生の生活の意義がなくなるなどと

心得て大騒ぎする事が我が国の如くではない。

独身生活者の多い所から、

独立して生活する必要が多くなってくる。

すなわち、経済的に独立する必要がある。

したがって、

職業に就ける婦人の数が、

非常に多くなってくる。

ミュンステルベルヒ氏のいう所によると、

独逸の婦人に比して、富んでいる者が多いので、

自活の道を立てる必要がない。

米国婦人が、自分の本分価値を意識し、

独立して行動するという習慣は、

経済や趣味の上においてのみならず、

道徳上にも現れている。

自分の価値を自覚し、

独立して働くという事を必要とする。