12時、始まった舞踏は三時くらいに終わり、
これから食事に移るのです。
この食事というのが、五時まで位続くので、
普通なら夜半の夢というこの頃に踊ったりはねたりして、
また、食事につくのですから、
随分非衛生的といえば、非衛生的ですが、
人の心は「愉快なもの」に向かっては、
案外、健康を害しないもので、
それに三時間も踊りぬいたうえの食事ですから、
随分健啖人を驚かすほどの芸も出来るのであります。
食事が終わり、アイスクリームなどが出てから、
また、再び舞踏を始め、
朝6時位に一同散会するのでありますが、
この食事を済ます頃には、
そろそろ暁の光が窓々から入って来て、
何時となし電燈の光を弱めて行くものですから
再度の舞踏には加わらずに、
帰っていく人が出来てきます。
かくて、一人減り二人減り、
二度目の舞踏が段々と淋しくなるばかりでなく、
華やかな電飾はその力を失ってき、
染める時は、さすがに歓楽の夢覚めて、
何とは知らぬ哀情を人を刻みつけるような気がします。
こんな風に夜中踊り抜くのですから、
大概舞踏会といえば土曜の夜に初めて、
日曜一日が休息のできるようにするのです。
最も学生仲間の舞踏会は、
夜12時に始めて、
1時には散会するのが普通の例になっています。