次は、読書室で、

ここは、壁も椅子も敷き物も、皆、赤茶なので、

レッドルーム

と、言われている。

周囲の本箱に、欧米の文学書があり、

中央のテーブルの上には、

文学・宗教・政治・演劇等に関するあらゆる雑誌や新聞が、

載せてある。

一階は、このように立派だけれど、

2階以上8階迄は、小さな畳敷きぐらいの室に仕切られて、

狭苦しい石の廊下が各部屋を連ねている。

部屋の配置・構造は、各階皆同じで、

その数は、

1階に130ばかりあるから全体で1,000以上はある。

食堂は、第9階にある。

三度三度こんな高い所まで行くのだから、

随分不便のようだけれど、

エレベーターで昇降するから造作はない。

学校から昼ご飯に帰って来て、

お腹がペコペコに好いている時に、

鈴を、押しても、押してもエレベータが来ない時などには、

花より団子で、食堂が一階にあって欲しいと思うけれど、

やはり9階にあるのが有難い。

正面の窓から

紐育市の稠密した人家の屋根が波浪のように見え、

その向こうにイースト・リバーがキラキラと流れている。

後ろは、ハドソン川で、

その東岸のパリセードの絶壁がはっきりと窓に映る等、

なんともいえぬいい心地がする。

前に二つ、後ろに二つ、都合四つの部屋で、できて

いずれも250人をゆうに入れることが出来る。

この他にレストランがあって、

来客を招ずるようになっている。