このシルヴァーベイに集まるのは、
私のいたコロンビア大学をはじめ、パッサ・
ヴェルズレー・ホリョーク・スミス等の諸大学生である。
そして、一つ大学より十人位の代表者を、
この集会に送る事になっている。
私が、オルバニーに着いた日、
諸大学の代表者も次々と集まって来た。
翌日出発する時には、大人数になっていた。
集まった大学生の年齢は18~19歳から21~22歳、
皆一様に水夫服を着けて、赤のリボンで胸を引き絞り、
麦藁帽を阿弥陀にかぶっている。
この身軽な扮装(いでたち)は、
若い生き生きした婦人に最もふさわしい。
賢そうで、しかも誰をも親しみ懐かしむような青い目、
帽の下に渦を巻いて、ふさふさと肩に流れかかっている金髪、
少し上に向かって切れ上がった口と
愉快に達者に動く唇の朱色、
それからちっとも濁りに染まぬ心、
其のままを語るような澄んだ声。
これだけ想像しても、この若い婦人ばかりの一隊の旅行が、
いかに楽しく愉快なものかわかるであろう。
一人一人が小さいスーツ・ケースを持って、
足も軽らかに歩くさまは、苦労も心配も飛んでしまいます。
汽車の中でも、盛んに会話が交わされた。
でも、大勢の中では、高声や歌唱は禁ぜられている。
だから、この連中もさすがに慎み深くておとなしかった。
外見は違うが、心は日本の女学校等と同じである。
しかし、汽車がレーク・ジョージ一駅に着いて、
これより湖上を船で行くとなった。
すると、一通りや二通りの騒々しさではなくなった。
あたかも小鳥のかごを雨上がりの日向に、
掛け並べたようなもので、
それこそ浮世を知らぬ様の喋喋喃喃が、
やがてあちらこちらから歌がわき、高唱となり、
その声が緩やかに水の上を滑って山の緑に溶け込んでいく。