シルヴァーベイは、レーク・ヂョーヂの湖畔にある。
風色の最も麗しい所で、
後ろには、アディロンダックの高岳を控えている。
対岸もまた後ろに高山を負い、
山と山との間にある湖水に臨んでいる。
だから、夏期の集会場としては、絶好の場所である。
私が、コロンビア大学に入学した二年目の夏に
この大学に出席した。
私はその年、
試験が終わるとすぐアルタモントの三流避暑していた。
バッサ大学にいる三人の人から、
シルヴァーベイの大学は、
授業日数は一週間半ぐらいの事であるから
ぜひ都合して出席してくれ。
と、いう招待を受けたからである。
そして、オルバニーで落ち合う日時を約束した。
私は、すぐ仕度して山を下り、
此処から30マイルばかりあるオルバニーに向かい出発した。
オルバニーは紐育州の州庁のあるところである。
私を、シルヴァーベイに誘ったバッサ大学の学生とは、
初対面だった。
然し、小柄な黄色い私は、声をかけられた。
そして、堅い握手をすることが出来た。
その人の名は、ウォラードという。
大柄ではあるが、始終、にこにこしているので、
生き生きと若々しく見える。
歩いている時も、食事の時もウォラードさんは、
一寸も饒舌(ちょともおしゃべり)をやめぬ。
その無邪気で快活で城府を設けぬ態度は、
私達二人を、直ちに十年周知の友としてしまった。