まことに、私は子のいっさいを心に留め、
この事全てを調べた。
正しい人も、知恵のある者も、彼等の働きも、
神の御手の中にある。
人には、
彼等の前にある全てのものが、
それが愛なのか、憎しみなのか、
わからない。
全ての事は、全ての人に同じように起こる。
同じ結末が、
正しい人にも、
悪しき者にも、
善人にも、
聖い人にも、
汚れた人にも、
生贄を献げる人にも、
生贄を献げない人にも
来る。
善人にも、罪人にも同様で、
誓うものにも、誓うのを恐れる者にも同様だ。
日の下で行われる事全てのうちで最も悪い事は、
同じ結末が全ての人に臨むという事。
その上、
人の子らの心が悪に満ち、生きている間は、
彼等の心に狂気があり、
その後で死人の所に行くという事だ。
しかし、人には拠り所がある。
生ける者全てのうちに数えられている者には。
生きている犬は死んだ獅子に勝るのだ。
生きている者は自分が死ぬ事を知っている。
が、死んだものは何も知らない。
彼等には、もはや何の報いもなく、
まことに呼び名さえも忘れられる。
彼等の愛も憎しみも、
妬みもすでに消え失せ、
日の下で行われる事全てにおいて、
彼等には、もはや永遠に受ける分はない。
さぁ、あなたのパンを楽しんで食べ、
陽気にあなたの葡萄酒を飲め。
神は既に、あなたのわざを喜んでおられる。
いつもあなたは白い衣を着よ。
頭には油を絶やしてはならない。
あなたの虚しい人生の間、
あなたの愛する妻と生活を楽しむがよい。
彼女は、あなたの虚しい日々に、
日の下であなたに与えられた者だ。
それが、生きている間に、
日の下の労苦から受けるあなたの分なのだ。
あなたの手が成し得るとわかった事は全て、
自分の力でそれをせよ。
あなたが行こうとしているよみには、
わざも道理も知識も知恵もないからだ。
私は再び、日の下を見た。
競争は足の速い人のものではなく、
戦いは勇士のものではない。
パンは知恵のある人のものではなく、
全ての人が時と機会に出会うからだ。
しかも、人は自分の時を知らない。
人の子らも、禍の時が突然彼らを襲うと罠にかかる。
それは、悪い網にかかった魚のようだ。
私はまた、知恵について、
それは私にとって大きな事であった。
僅かな人々が住む小さな町があった。
そこに大王が攻めてきて包囲した。
それに対して大きな土塁を築いた。
その町に貧しい一人の知恵ある者がいた。
自分の知恵を用いてその街を救った。
しかし、誰もその貧しい人を、記憶にとどめなかった。
という事を日の下で見た。
私は、
知恵は力に勝る。
しかし、貧しい者の知恵は蔑まれ、
その人の言葉は聞かれない。
と、言う。
知恵のある者の静かな言葉は、
愚かな者の支配者の叫びよりもよく聞かれる。
知恵は武器に勝り、
一人の罪人は多くの良い事を打ち壊す。
Copyright⒞ 2015 buta,All Rights Reserved.