私は再び、日の下で行われる一切の虐げを見た。
見よ、虐げられている者達の涙を。
しかし、彼等には慰める者はいない。
彼等を虐げる者達が権力をふるう。
しかし、彼等には慰める者がいない。
命があり、生きながらえている人よりは、
すでに亡くなった人に私は祝いを申し上げる。
また、この両者よりもっと良いのは、
今までに存在しなかった者、
日の下で行われる悪いわざを見なかった者だ。
私はまた、あらゆる労苦とあらゆる仕事の成功を見た。
それは人間同士の妬みにすぎない。
これもまた空しく、風を追うようなものだ。
愚かな者は腕組みをし、自分の身を食いつぶす。
片手に安らかさを満たす事は、
両手に労苦を満たして風を追うのに勝る。
私は再び、日の下で、空しい事を見た。
一人ぼっちで、仲間もなく子も兄弟もいない人がいる。
それでも彼の一切の労苦には終わりがなく、
その目は富みを求めて飽く事がない。
そして、
私は誰の為に労苦し、
楽しみもなく自分を犠牲にしているのか。
とも言わない。
これもまた空しく、つらい営みだ。
二人は一人よりも勝っている。
二人の労苦には、良い報いがあるからだ。
どちらかが倒れる時には、一人がその仲間を起こす。
倒れても起こしてくれる者のいない
一人ぼっちの人もかわいそうだ。
また、二人が一緒に寝ると温かくなる。
一人ではどうして暖かくなるだろうか。
一人なら打ち負かされても、二人なら立ち向かえる。
三つの撚りの糸は簡単には切れない。
貧しくて知恵のある若者は、忠告を受け入れなくなった。
年老いた愚かな王に勝る。
そのような若者は、牢獄から出て王になる。
たとえ、その王国で貧しくうまれた者であっても。
私は
日の下を歩む生きている者が皆、
王に代わり立つ、
後継の若者の側につく光景
を、見た。
その民全てには終わりがない。
彼を先にして続く人々には、
後に来るその者達も、後継の者を喜ばない。
これもまた空しく、風を追うようなものだ。
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