エルサレムの王 ダビデの子 伝道者の言霊

私は再び、日の下で行われる一切の虐げを見た。

見よ、虐げられている者達の涙を。

しかし、彼等には慰める者はいない。

彼等を虐げる者達が権力をふるう。

しかし、彼等には慰める者がいない。

命があり、生きながらえている人よりは、

すでに亡くなった人に私は祝いを申し上げる。

また、この両者よりもっと良いのは、

今までに存在しなかった者、

日の下で行われる悪いわざを

見なかった者だ。

私はまた、

あらゆる労苦とあらゆる仕事の成功を見た。

それは人間同士の妬みにすぎない。

これもまた空しく、風を追うようなものだ。

愚かな者は腕組みをし、自分の身を食いつぶす。

片手に安らかさを満たす事は、

両手に労苦を満たして風を追うのに勝る。

私は再び、日の下で、空しい事を見た。

一人ぼっちで、仲間もなく、

子も兄弟もいない人がいる。

それでも彼の一切の労苦には終わりがなく、

その目は富みを求めて飽く事がない。

そして、

私は誰の為に労苦し、

楽しみもなく自分を犠牲にしているのか。

とも言わない。

これもまた空しく、つらい営みだ。

二人は一人よりも勝っている。

二人の労苦には、良い報いがあるからだ。

どちらかが倒れる時には、

一人がその仲間を起こす。

倒れても起こしてくれる者のいない

一人ぼっちの人もかわいそうだ。

また、二人が一緒に寝ると温かくなる。

一人ではどうして暖かくなるだろうか。

一人なら打ち負かされても、

二人なら立ち向かえる。

三つの撚りの糸は簡単には切れない。

貧しくて知恵のある若者は、

忠告を受け入れなくなった。

年老いた愚かな王に勝る。

そのような若者は、牢獄から出て王になる。

たとえ、その王国で貧しくうまれた者であっても。

私は

日の下を歩む生きている者が皆、

王に代わり立つ、

後継の若者の側につく光景

を、見た。

その民全てには終わりがない。

彼を先にして続く人々には、

後に来るその者達も、後継の者を喜ばない。

これもまた空しく、風を追うようなものだ。