モルデカイは、なされた全ての事を知った。
モルデカイは、
衣を引き裂き、
粗布を纏い、
灰をかぶり、
大声で激しく泣き叫びながら
都の真ん中に出て行った。
そして、王の門の前の所まで来た。
王の門の中には、粗布を纏ったままでは、
入る事が出来なかったのである。
王の命令と法令が届いたどの州においても、
ユダヤ人の間には大きな悲しみがあった。
断食と鳴き声と嘆きが起こり、
多くの人達は粗布を纏って灰の上に座った。
エステルは、侍女達と宦官からこの事を聞いた。
彼女は、非常に痛み苦しんだ。
彼女は、モルデカイに衣服を送った。
それを着せて、粗布を脱がせようとした。
が、彼はそれを受け取らなかった。
エステルは、ハタクを呼び寄せた。
彼は、クセルクセス王が、
エステル王妃に仕えさせる為に任命していた
王の宦官の一人であった。
エステル王妃
ハタク、モルデカイの所に行き、
これはどういう訳か、また何の為か
と、聞いてきてください。
ハタクは、王の門の前の町の広場にいる
モルデカイを訪ねた。
モルデカイは、
自分の身に起こった事を全て彼に告げた。
ハマンが、
ユダヤ人を滅ぼす為に、王の宝物庫に納める。
と、約束した正確な金額も告げた。
また、彼に、
ユダヤ人を根絶やしにする為に、
スサで発布された法令の文書の写し
を、渡した。
それは、
エステルに見せて事情を知らせる事、
そして彼女が王の所に行き、
自分の民族の為に
王からの憐れみを乞い求める事
を、彼女に命じる為であった。
ハタクはエステル王妃のもとに戻り、
モルデカイの伝言を告げた。
エステルからモルデガイへの手紙
モルデカイ、
奥の中庭に入り王の所に行く事は、
王に召れた者だけです。
そうでない者が王の所に行く事は、
男性でも女性でも
死刑に処せられる法令があります。
この事は、
王の家臣達も
王の諸州の民も
誰でも知っています。
ただし、
王がその人に金の酌を差し伸ばせば、
その人は生き永らえます。
私はこの30日間、
王の所へ行くようにと召されていません。
と、伝えて下さい。
モルデカイからエステルへの手紙
エステルよ。
あなたは、
自分は、全てのユダヤ人から離れて
王宮にいるので助かるだろう。
と、考えてはいけない。
あなたも私達と同じだ。
もし、あなたが
このような時に
沈黙を守るなら、
別の所から助けと救いが
ユダヤ人の為に起こるだろう。
あなたがこの王国に来たのは、
もしかすると、
このような時のためかもしれない
エステルからモルデガイへの手紙
モルデカイ、
スサにいるユダヤ人を皆集め、
私の為に断食をしてください。
三日三晩、
食べたり飲んだりしないようにして下さい。
私も私の侍女達も同じ様に断食します。
そのようにした上で、私は王の所へ参ります。
それは、法令に背く事になります。
なので、死ななければ
ならないのでしたら死にます。
モルデカイは、エステルの願いを聞き入れた。