その治世の第三年に彼は、

全ての首長と家臣達の為に宴会を催した。

それには、ペルシアとメディアの有力者・

貴族達・および諸州の首長達が出席した。

王は、彼の王国の栄光と富と大いなる栄誉を示した。

それは、180日に及んだ。

その宴会の期間が終わった。

その後、王は、

スサの城にいた身分の高い者から

低い者に至る迄の全ての民の為に、

七日間、王宮の園の庭で宴会を催した。

白綿布や青色の布が、

白や紫色の細紐で

大理石の柱の銀の輪に結び付けられ、

金と銀でできた長椅子が

緑色石・白大理石・

真珠貝や黒大理石のモザイクの床の上に

置かれていた。

そして、金の杯で振る舞われた。

が、その杯は一つ一つ種類が違っていた。

王室の葡萄酒は、王にふさわしく豊かであった。

しかし飲酒は

強要しない事

と、いう法に従っていた。

王が宮廷の全ての長に

誰でも自分の思いのままにさせるように

と、命じていたからである。

王妃ワシュティもクセルクセス王の王宮で、

婦人達の為に宴会も催した。

七日目に、クセルクセス王は、

葡萄酒で心が陽気になった。

王に仕える宦官は、

メフマン・ビゼタ・ハルボナ

ビクタ・アバグタ・ゼタル・カルカス

の七名がいた。

クセルクセス王は、彼らに

王妃ワシュティに王冠を被らせて、

王の前に連れてくる事

を、命じた。

彼女の容姿が素晴らしかったので、

その美しさと民を首長達に見せる為であった。

しかし、王妃ワシュティは、

宦官から伝えられた王の命令を拒んだ。

その為、王は激しく怒り、

その憤りは、彼の内で燃え立った。

このような時には、

法令と裁判に詳しい全ての者に

審議する事が慣わしであった。

王の側近は、

ペルシアとメディアの七人の首長達、

カルシェナ・シェタル・アデマタ・

タルシシュ・メレス・マルセナ・メムカン

で、あった。

彼らは、王の顔を見る者達、

王国の最高の地位であった。

王は、

時を熟知している知恵のある者達

に相談した。

クセルクセス王

王妃ワシュティは、

宦官により伝えられたクセルクセル王の命令

に、従わなかった。

法令に従って彼女をどう処分すべきか。

メムカン

王妃の事が女性達の御名に知れ渡ったら、

女性達は、

クセルクセル王が、王妃シュティに、

王の前に来るように

と、命じたのに従わなかった。

と、言うでしょう。

そして、自分の夫を、軽く見るようになるでしょう。

今日にでも、王妃の事を聞いた

ペルシアとメディアの首長の夫人達は、

王の全ての首長達にこの事を言い、

並々ならぬ軽蔑と怒りが起こる事でしょう。

もし王がよろしければ、

ワシュティは、

クセルクセス王の前に出てはならない。

と、いう勅令をお申し出でになりませんか。

ペルシアとメディアの法令の中に書き入れ、

変更のないようにされてはどうですか。

王妃の位は、彼女よりももっと

優れたものにお授け下さい。

王が出される詔勅が、

この大きな王国の隅々まで

告げ知らされれば、

女性達は、

身分の高い者から低い者に至る迄皆、

自分の夫を敬うようになるでしょう。

この進言は、王と首長達の心にかなったので、

王はメムカンの言った通りにした。

王は、

各州にはその文字で、

各民族にはその言語で

書簡を送った。

そして、

男子は皆一家の主人となる事、

また、自分の民族の言語で話す事

を、命じた。