その舞踏会はホテル・マーティングでも催されるのです。
行ってみますと、
もう馬車やら自動車やらがたくさん集まっています。
窓々は、華やかな電灯がきらめいて、
この世の盛会を微笑むように見えました。
着て行ったコ-トは、
ちゃんと預かり所があって、預かってくれます。
多く舞踏会には、
メイドを連れて行く事になっていますが、
その夜はホテルの事ですから、
ホテルのメイドがそれぞれ準備をしてくれました。
まず御化粧室に入って化粧直しをします。
すると、メイドが来て、服を直したり、
髪に手を入れたりして、
かゆい所に手の届くほど気を利かせてくれるのです。
これがすんで、
私は友人と一緒に、舞踏室へ導びかれていきますと、
そこにはもう、たくさんの人が集まっているのです。
舞踏者の衣服は、
主に、白とか赤とかピンクとかライト・ブルーとか、
その一人一人の色彩は割合単色ですが、
それが、種々の人の色と重なり合って、
実に目も覚めるばかりで美しい。
それに電燈は、
煌々として白熱の光りを投げて、
真に「五彩絢爛」と、いうありさまであります。