ターター号は、

キアネ-ディアンパシフィック号汽船会社に属する船である。

この船は、バンク―バーと東洋の諸港との間を往来している。

日本人支那人は、一等船客といえども大抵は、

シャートル、サンフランシスコに行くのであるから、

ディアン・パシックの航路を取るものは、

英国人もしくは、英領カナダ人である。

まず、食事について言ってみると、

朝、目が覚めて顔も洗わないうちに茶とトーストとが来る。

次に、朝ごはん、

十時頃、お菓子にお茶、

午後の一時に昼のご飯、

4時過ぎにかなりの食事が出る。

これは、俗に「ティ」というけれども、

お茶よりも食べる物が主になっている。

7時頃、夕飯が出て、また、夜就床前にお菓子が出る。

私は、母校で教鞭と執っているP嬢と、

同行することにしたので、

このターター号にのることになったのであるが、

純日本式な生活から一躍して純英国風の生活に入った私は、

不安なような面白いような一種奇異な感じがした。