新刊の書物は、彼の地の婦人間に歓迎されます。

ですが、

それよりも雑誌や新聞の喜ばれる事は間違いありません。

米国の婦人は、新聞の隅から隅まで目を通すという程で、

新聞の記事には大変な興味を持ってゐるのです。

殊に音楽や美術に関する記事等は、

誰も見逃しはしないという有様です。

婦人向きの雑誌としては

婦人家庭雑誌(レディース・ホームジャーナル)・

婦人家庭の友(レディース・ホーム・コンパニオン)・

美しき家(ゼ・ビューティフルハウス)等であります。

そのうちで最も読まれているのは婦人家庭雑誌であります。

この雑誌の普通の婦人間に歓迎されますことは、

アウト・ルックが男子間にもてるのと同様であります。

少し教育のある婦人は、

アトランティック・マンスリー等文学的のものを読みます。

家庭では、たいてい4~5種の雑誌を購読、読み、

社交場の話題を得たます。

また、それにより、日常生活をいろいろと変えてゆくのです。

例えば、新しい流行等の紹介記事を読みます。

兎に角、その事を実地に応用してみるのです。

ですが、其のまま真似をすると言うのではありません。

どこか変わった新しい工夫を凝らしてみるのであります。

無意味に人の流行を追うという事は、

米国人には出来る事でありません。

一方、客室を装ったり、食堂を飾ったりする時には、

いつも雑誌と相談を致します。

それでありますから、家庭で読んでいる新聞も雑誌も

それが皆活用の材料となります。

なので、ただただ応接間を飾るというばかりでありません。

どぼけた質問

彼方の婦人達は、こんなに多読いたします。

だから、さぞかし何でも知っていると思われましょう。

けれど、事実は、さうではありません。

時々随分教育のある人が、妙な質問をするのがあります。

日本では、

子供が病気すると熱湯をかけると云ふではありませんか。

だの

日本は雪がちっとも降らないでせう。

だのいう問ひを真面目に聞かれるのであります。

私の考えでは、

米国人は一般に東洋の地理と歴史とに疎いように思われます。