そもそもこの女子青年会大会の目的は、
大学間の親睦・連絡を測る事はもとより、
閑静な地に精神上の修養をなして、
宗教心の発動及びその指導をなさしむる事などである。
しかし、いたづらに演説や講習を押し売りして、
知識に飽かしめる害もない。
出席した事はないが、
日本のキリスト教の夏期講習会等も
これに似たものであろうか、
いや、これよりももっとのんびりとして
自由であるように思われる。
午前中は、宗教上の講演等があるが、
午後は、ほとんど楽しいゲームに暮らしてしまふのである。
遊戯は、主として学校と学校との間に行われ、
そのゲームは、主にバスケットボールである。
ゲームとしての種類は、あまりたくさんない。
日本では、女学生間にテニスなどが流行るが、
米国では、かえってこれをやらないのである。
他の楽しみは、遊泳という舟遊びである。
舟は、もとより、学生が自分で漕ぐが、
なかなか巧みなものである。
水に入ってキャキャと騒ぐ声、
舵を取って歌を流す声、
天地は、実に自然の懐に放たれた
若き人々の声に満つるのである。
また、馬に乗る者もいる。
馬に乗る時は、髪を額より分け上げて、
帽子を深く被って、男子の同じことをする。
食事の時は、また、さらに愉快で楽しみである。
人数が多いから、甲乙二組に分かれて、
一組ずつ一度に食堂に集まるのである。
しかし、この時は、食前の祈祷に代えて、
一同起立して、讃美歌を歌う。
それから、談話の時に報告、演説があるが、
この報告演説は蓄音機である。
夜は、宗教的の会合やまた、各学校の単独小集会がある。
この夜の集会は、最も、精神的である。
代わる代わる起立し、自分の経験談や実験談、
または、懺悔をする時は、
最も醇な精神と熱烈の感情が動いて、
時として、この中から偉大な決心をなす者を、
立たしめることがある。
私は、これからの残る生涯を伝道の為、捧げます。
そして、東洋に行って、主の為に働きます。
と、言ったような決心をして神に誓う者が出て来るのである。