ペリシテ人との戦いの日は、近づいていた。
サウルの息子・ヨナタン
道具持ちの若者の何某よ。
この向こう側の
ペリシテ人の先陣の方へ行こう。
ヨナタンは、父にその事を知らせなかった。
サウルは、ギブアの外れで、
ミグロンにある柘榴の木の下に座っていた。
彼と共にいた兵は、約600人であった。
アヒヤは、エボテを身につけていた。
アヒヤは、アヒトブの子。
アヒトブはイ・カボテの兄弟。
イ・カボデは、
シロで主の祭司であったエリの子である。
兵達は、
ヨナタンが出て行った事を知らなかった。
ヨナタンは、越えて行こうとしていた。
ペリシテ人の先陣の側に。
そこには、山峡があった。
山峡は、手前側にも向こう側にも、
切り立った岩があった。
名は、ボツェツとセンネと言った。
岩は、
北側・ミクマスの側
南側・ゲバの側
に、そそり立っていた。
ヨナタン
何某、
無割礼の者どもの先陣の所へ渡って行こう。
おそらく、主が我々に味方して下さるだろう。
多くの人によっても、少しの人によっても、
主がお救いになるのを妨げるものは
何もない。
道具持ちの若者・何某
なんでも、お心のままになさってください。
お進みください。
私も一緒に参ります。
お心のままに。
ヨナタン
あの者どもの所に行き、我々の姿を現すのだ。
もし彼らが、
俺達がお前らの所に行く迄、
じっとしていろ。
と、言ったら、その場に立ち留まる。
彼らの所に上って行かないでいよう。
しかし、もし彼らが
俺達の所に上って来い。
と、言ったら、登って行こう。
主が彼らを、我々の手に渡されたのだから。
これが、我々へのしるしだ。
ヨナタンと道具持ちの若者・何某は、
ペリシテ人の先陣に身を現した。
ペリシテ人
へブル人が隠れていた穴から出てくるぞ。
ペリシテ人の先陣の者達
へブル人よ。
俺達の所に上って来い。
思い知らせてやる。
ヨナタン
何某、私について登ってきなさい。
主がイスラエルの手に、彼らを渡されたのだ。
ヨナタンは手足を使いよじ登った。
そして、道具持ち・何某もあとに続いた。
ペリシテ人はヨナタンの前に倒れた。
道具持ち・何某が後ろで彼らを打ち殺した。
ヨナタンと道具持ち・何某が、
最初に打ち取ったのは、約20人であった。
場所の広さは、0.5ツェメドであった。
そして、ペリシテ人の陣営・野・
総ての兵のうちに恐れが起こった。
先陣の者、略奪隊さえ恐れおののいた。
地は震え、非常な恐れとなった。