使徒の働き 第27章その2

テオフィロ様
     私は前の書で、イエスの行いを始め、
     教えられた全ての事について書き記しました。
     それは、お選びになった使徒達に
     聖霊によって命じた後、
     天に上げられた日までの事でした。
     イエスは苦しみを受けた後、
     ご自分が生きている事を使徒達に示された。
     40日にわたって彼らに現れ、神の国の事を語られた。
     イエスは使徒達に一緒にいた事を書き記します。
ルカより

14日目の夜になった。

私達はアドリア海を漂っていた。

真夜中頃、水夫達は、

どこかの陸地に近づいているのではないか。

と思った。

彼らが水の深さを測ってみると、

20オルギヤである事が分かった。

少し進んでもう一度測ると、

15オルギヤであった。

人々は、

どこかで暗礁に乗り上げるのではないか。

と恐れて、船尾から錨を四つ投げ降ろした。

夜が明けるのを待ちわびた。

ところが、

水夫たちが船から逃げ出そうとしていた。

船首から錨を降ろすように見せかけ、

小舟を海に降ろしていた。

パウロ

百人隊長ユリウス、兵士達

あの人達が船に留まっていなければ、

あなた方は助かりません。

そこで、兵士達は小舟の綱を切り、

流れるままにした。

夜が明けた頃、

パウロは一同に食事をするように勧めた。

パウロ

今日で14日です。

あなた方はひたすら待ち続けました。

何も口に入れず、

食べる事なく過ごしてきました。

ですから、食事をするよう勧めます。

これで、あなた方は助かります。

頭から髪の毛一本失われる事はありません。

パウロはパンを取り、

一同の前で神に感謝の祈りを捧げた。

それから、パンを裂いて食べ始めた。

それで皆も元気づけられ、食事をした。

船にいた私達は、合わせて276人であった。

十分に食べた後、

人々は麦を海に投げ捨てて、船を軽くした。

夜が明けた。

砂浜のある入り江が目に留まった。

どこの陸地かよく分からなかった。

でも、できればそこに船を乗り入れようと、

いう事になった。

錨を切って海に捨てた。

同時に舵の綱を解いた。

吹く風に船首の帆を上げて、

砂浜に向かって進んだ。

ところが、

二つの潮流に挟まれた浅瀬に乗り上げた。

船を座礁させてしまった。

船首はめり込んで動かなくなった。

船尾は激しい波によって壊れ始めた。

兵士達は、

囚人達が誰も泳いで逃げないように、

殺してしまおう。

と、謀った。

しかし、百人隊長・ユリウスは、

パウロを助けたいと思った。

なので、兵士達の計画を制止した。

泳げる者達が、

先ず海に飛び込んで陸に上がった。

残りの者達には、

板切れや船にある何かに摑まるように命じた。

こうして、全員が無事に陸に上がった。